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応用問題との向き合い方と過去問について(4)

(前回の記事はこちらから)


さてここまでは、基本と応用のうち、基本についてお話ししてきた。ここからは応用問題について考えてみたい。


そもそも、応用問題とはどのような問題なのだろう。その定義に立ち返って考えてみることにしよう。

冒頭にもお伝えした通り、多くの人は「基本=簡単、応用=難しい」という漠然とした印象を持っている。しかし私から申し上げると、ほとんどの応用問題は「基本の組み合わせ」に過ぎない。教科書レベルの基本概念を複数組み合わせて作問されているだけなので、基本さえ習得してしまえば、応用の習得にはさほど時間はかからないというのが実際のところであるように思う。


見た目の複雑さは、一問に組み合わされる基本概念の数に比例する。融合する基本概念の種類が増えれば増えるほど、複雑で難しい印象に映るのだ。ここで、2019年度の青森県公立高校入試問題の中から、ひとつ例を挙げてみよう。


(2019年度 青森県公立高校入試問題 数学大問3)


文章量の多さから一瞬難しそうに見えるが、与えられた数値を丁寧に図に書き込み、条件文をよく読み込んでいくと、以下の四つの基本概念を組み合わせた問題であることに気付く。


1.速さの計算(小6)

2.扇形の弧の長さと中心角(中1)

3.二等辺三角形と正三角形の性質(中2)

4.三平方の定理(中3)


いずれも教科書の例題の域を超えないレベルの知識だが、応用問題の怖いところは、これら1~4のいずれかの知識が一つでも欠けていると、先に進めなくなるということである。基本概念が全て揃って初めて正解にたどり着けるものなので、グレーゾーンの部分点などというものはない。


だから、「応用問題が出来ない」という訴えは、その元となる基本概念に不足があることの裏返しなのだ。基本が出来て応用が出来ないということは、まずもって滅多にない。


逆に言えばそれだけ基本が難しいことの証拠なのだ。

学習時間の大半は基礎の習得に割くべきで、無闇やたらに応用問題ばかりをこなすことで学力が伸びるわけではないという点には、注意が必要だと私は考える。


特に最近は小・中両学校において、学力テストや入試の過去問を宿題にする事例が増えているように感じる。しかし、過去問はただやらせればよいというものではない。タイミングの見極めが何より重要であり、使うタイミングを間違えると学習効果は出ない。


(次回へ続く)


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