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数学の「わかる」に一歩近づくためのひと手間

こんな問題があったとしましょう。↓

数学を指導する際、私はかなり口酸っぱく「グラフを書け!図を書け!」と吠えます。めっちゃ吠えます🐺そりゃもう耳にタコができるくらいに・・・


それで、私自身が見本となり、以下のようにグラフを書きながら解説をしていきます。

というのも、数学を苦手とする子には、おおむね全員に共通している特徴があるのです。それは、


・図形の問題を解くための図(展開図や相似な図)を自分で書き起こせない

・関数の問題でグラフが正確に書けない、あるいはグラフのイメージが湧かない


ということ。そう、図を書かない(あるいは書けない)のです。


関数分野は、平たく言えば数の増え方や減り方の規則性を学ぶ分野です。その規則性をもっとも単純な形で表したのがy=ax+bなどといった数式で、その規則性をイメージしやすく視覚的に表したのがグラフであると私は考えています。


数式とグラフは、同じ数の規則性の2つの表現方法であり、常に表裏一体です。どちらか片方だけで理解ができるはずはなく、どちらも揃って初めて理解への足がかりになると思うのです。


また、図形分野において図のイメージが大事なのは言うまでもありません。

あらかじめ問題で与えられたデフォルトの図を眺めていてもらちが明かない場合は、図をくるりとひっくり返してみたり、複雑な図から必要な部品だけを抜粋して単純化してみたり、立体の問題であれば違う角度から立体を観察することで新たな気付きを得られます。


このように、自分の手でグラフや図を書くからこそ理解できることが数学には山ほどあります。


ところが、ただでさえ数学が得意でない子が、問題集の解答解説に載っているやり方を真に受けて数式だけで答えをゴリ押しで出そうとするあまり、やってる途中から自分が今何をやっているのか分からなくなってしまうというパターンが本当に多いのです。こんな式を延々と書いて。

確かに、この公式(のようなもの)は、しくみを分かっている人にとっては簡潔でやりやすいのかもしれません。しかし、これが初学者――とりわけ数学に苦手意識を感じていて、それでも成績を上げるためにどうにがこうにかもがいている子が最初からこのように教えられては、途中から自分が何をやっているのか、迷子になってしまうのも無理はないのではないでしょうか。


数学に限って言えば、問題集の解説は初学者にとって全然優しくないです。市販の教材だけでなく、実は学校のワークも同様です。本来ならばグラフや図によるイメージの補強が必要なのに、そのような情報は思い切りカットされて数式だけしか書かれていませんし、その計算の過程でさえ一足飛ばしで書かれていることが多い。迷子になるのも当然です。


まぁ大方「紙面の都合」という大人の事情なのでしょうが、勉強する側からしたらたまったもんじゃないですよね。


グラフのない関数の問題というのは存在せず、図のない図形の問題もまた存在しません。問題に書かれていなければ自分で作図する必要があるし、そのような手引きを受けていなければ、こちらで手引きするのみです。「公式代入マシンになるな。ますます数学が苦手になる」とは私がよく言うセリフ。


実際、中学の段階ではまだ「公式」と呼べるものが本当に必要な場面は、それほど多くありません。中学校の数学は、公式が本格的に必要になってくる高校数学と、公式ではなくひたすら概念を習得する期間である小学算数との狭間の期間です。


できるだけ機械的な解法ではなく図とイメージを駆使した「算数的な考え方」を鍛えた上で、高校への橋渡しを行っていきたいと常々考えています。それが本当の意味での「わかる」への第一歩だと思いますから。


さて、今日はこのへんで。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。👋🐺



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