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寺子屋が受入を制限しているわけ④

寺子屋リンクスが中3以降の受入を制限している理由の最後である。


③高校に入ることをゴールにしてほしくないから。

「寺子屋が受入を制限しているわけ」の冒頭の記事にも書いたが、受験を間際に控えた家庭に対する、大手の講習の取らせ方はなかなか強烈である。限られた時間の枠に、あれもこれもとオプションを付けて講習を乗せてくる。


ここでは高校入試に限定して話をさせていただくが、このような詰め込み式のやり方により、数ヶ月程度の短期間で一気に学力を伸ばすと仮定する。その結果、いわゆる“下克上”と言われるような逆転劇を果たして志望校に合格するような事例は、ないわけではない。


ひとつ例を挙げよう。

バスケットボール漫画の金字塔『SLAM DUNK』の第269話の中のエピソードだ。


山王工業戦でルーズボールを追いかけた主人公・桜木は、机に突っ込んで背中を痛めてしまった。

倒れてしまった桜木を介抱しながら、マネージャーのアヤコさんが心の中でこう呟く。


「あの子はわずか4ヶ月で異様なほど急速に力を付けてきた

いろんなものを身につけてきた

治療やリハビリにもし時間がかかるなら

プレイから長い間離れてしまったら

それが失われていくのもまた早い

この4ヶ月がまるで夢だったかのように……」



とまあこんな感じなのだが、これと同じことが勉強にもいえる。


私の経験上、そのようにして逆転合格した子は、反動から高校進学後には一気に勉強しなくなる。

それまで詰め込んだ知識も、講師から直された勉強習慣も、一気に失われていく。

入学して半年もすれば、また入塾前の状態に戻ってしまう。

受験までの数ヶ月が、まるで夢だったかのように。


寺子屋リンクスは、「勉強に対するマインドや習慣の改善」を第一の理念に掲げている。

講師が主導して知識を詰め込む塾と比べて、学力の伸びは比較的緩やかかもしれないが、ここで身につけた思考や習慣は一生ものである。

卒業して私の手を離れた後もその習慣は継続してほしいし、願わくは大人になってその子が家族を持った後にも、知的好奇心や学ぶことの大切さを、次の世代に継承してほしいと思う。


私のことなど忘れてもらって構わない。

ただ、私と一緒に学んだ様々な経験がその子の今後の人生に何かの形で活きてくれるようなら、そこで初めて私の役目は果たされたといっていい。


たかが高校入試をゴールにしてもらっては困る。

その先の将来まで見据えて共にじっくりと学びあいたいからこそ、入塾時期に制限を設けているのである。