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寺子屋が受入を制限しているわけ①

寺子屋では、新規の入塾の受け入れを中2までに限定している。

おそらく、これは他塾ではなかなか類を見ない方針ではないかと思う。


業界的な裏話をぶっちゃければ、売上的には部活を引退して夏休みを控えた中3が、いちばん契約を取りやすい。

受験を意識し始めて学力に焦りを感じ始めた子や保護者が、黙っていてもホイホイ塾の門を叩きに来るのだ。塾にとってこれほどの稼ぎ時は他にないのだろう。


部活に青春を捧げたといえば聞こえは良いが、そのほとんどは部活を口実に勉強から逃げてきた、あるいは親もそれを黙認してきた場合が多い。

基本的に初動が遅すぎる。


そのような子は、それまでサボってきた(サボらせてきた)ツケのせいで、やり直すべき内容は探せば腐るほど出てくる。そこを突っついてあげれば、大抵は入塾してくれるし、追加指導も取りやすい。


私も大手の塾で働いていた経験があるから分かるが、この時期に入塾する親子に対する大手の講習の取らせ方ときたら、なかなかエグいものがある。あんたら良心の呵責はないのかい、なんて言いたくなるような契約も数多く見てきた。



まあとにかくそんな感じで、中3の夏からようやくもそもそと動き始める家庭は、喉から手が出るほど売上が欲しい塾にとっては、ある意味「おいしい」ターゲットなのである。


もちろん、その層を引き受ける全ての塾が、そのような邪(よこしま)な気持ちでご家庭を迎え入れているわけではないことは強調しておきたい。たとえ初動が遅くても、生徒や保護者の頑張りたい気持ちに全力で応えようと覚悟を持って引き受ける塾だってあるはずだ。


だが寺子屋の場合、この層は原則的に受け入れない。新規の受け入れは2年生のうちで締め切る。

「寺」子屋を名乗ってはいても、駆け込み「寺」としての役割は負うことはない。


理由はいくつかある。

①寺子屋の方針では芽が出るまでに時間がかかるから。
②これまで頑張ってきた子にこそ指導を注ぎたいから。
③高校に入ることをゴールにしてほしくないから。

これらの各項目を、もう少し掘り下げていくことにする。


(次回[2/4]に続く)


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