やる気がない子のやる気をONにする魔法とは?(4)

そういうわけなので、やる気が先か、行動が先かと聞かれたら、私は「とにかく行動が先」と断言する。やる気があって勉強するのではなく、勉強しているからやる気があるように見えるのだ。


だから、勉強の腰が重い子に対して、つかみどころのない「やる気」という言葉を持ち出し、「もうちょっとやる気出したらどうなの!」などと叱ってみせても、子どもに響くことはないので程々に。言ってるうちにますます勉強から気持ちが離れるだけである。


出そうと思ってやる気を出せるなら、私たちだって人生苦労していない。そもそも行動する前にやる気が湧いてくること自体、目の前にニンジンか何かをぶら下げられない限り、そうそうあることではない。それで不毛な親子喧嘩をするくらいなら、そのストレス、半分引き受けましょう。ぜひとも塾へ連れてきていただきたい。勉強に関してのあれこれはこちらの領分だから、互いに連携を取りながら一緒に打開策を考えてゆけばよい。


あるいは塾通いのタイミングをちょくちょく伺いつつ、

「子どもがやる気になったら……」

「もうちょっと自覚が芽生えたら……」

などとズルズル引き延ばしているうちに、本当に始めるべきベストなタイミングを逃してしまう可能性にも注意されたい。


だいたい子どもが塾の必要性をはっきりと自覚したタイミングというのは、たいてい学力的にはもうズタズタで、例えるなら全身に腫瘍が回ってしまったような段階である。あるいは虫歯がすっかり進行してしまい、痛くてたまらない状況など。そんな状況になってから焦って医者に駆け込んだら、きっと「どうしてもっと早く相談しなかったのか」と怒られてしまうに違いない。


そんな状況下での「勉強ヤバイヤバイ」という子どもの口ぶりとは裏腹に、本人の勉強に対する前向きな意志はすっかり擦り切れて果ててしまっている。手抜き、逃げ腰、ごまかし、嘘つき……。そういうガチガチに凝り固まった良くない癖を、こちらはひとつひとつ格闘しながら解除していかなければならないから、新しい行動ひとつ身につけてもらうのも大仕事になる。本当にベストな塾通いのタイミングは、得てして子どもの危機感がないうちであることは、覚えておいて損はない。



「やる気のない子のやる気をONにする魔法」は、残念ながらない。

開口一番でそう書いたのは、やる気があるように見えている誰かのイメージも、実際はその人のたゆまぬ行動の後についてくる、ある種の「惰性」の副産物だからだ。そもそも人の行動がなければ、やる気という概念さえ存在しないのである。


言い方を変えれば、それは何もない心の海に石を投げればポンと湧いて出てくるような単純な心理反応ではなく、絶えず走り続ける姿の背後に、うっすら尾を引くようににじみ出て見えるオーラのようなものだ。その走るさまは、まるで夜空を駆け抜ける彗星の尾のように美しい。


勉強するやる気が欲しければ、形からでもいい、まず何よりも勉強という行動を始めることが先だ。そのために塾という空間がある。勉強する目的を持った人が、勉強するために集まる場所。勉強する人も全くする気がない人もみな義務で通っている学校との違いは、まさにそこにある。ぜひどんどん活用してほしい。


また、私が小学生からの通塾をたびたび勧めているのも、その方がやる気というものを特に意識せずとも、自然とやる気を帯びた体質を育てやすいからである。こちらはなにもエリートを育てようなどという高尚なビジョンなど微塵も持ち合わせていない。やる気などという言葉を持ち出して変に意気込まずとも、普段から普通に勉強して、ここぞというときには自然とゾーンに入れるような人であってほしいだけだ。


中学生になって、勉強に対してひねくれた考えを抱き始めてから「やる気」を生むための行動改革をしようとすると、生徒自身も、保護者も、また指導するこちら側にも相応の苦しみを伴うことになる。一度マイナス方向に振り切れた思考の癖は、簡単には覆らない。時には戦争のような波乱をも巻き起こし、三者全員にとってたいへんストレスフルな営みとなることは、あらかじめ覚悟しておかなければならない。


だが小学生の頃からじっくり時間をかけて勉強習慣を育んできた子ならば、その手の苦しみは起こらない。そういう子にとって勉強は「やる気を出し、意気込んですること」ではなく、ただ「普段からやっていること」に過ぎない。私としてはそれがひとつの理想かな、と思っている。別にどこの大学を目指そうが構わない。あるいは大学へ行かず、社会へ飛び出す道を選ぶとしてもだ。人生はいつまでも勉強の連続。勉強が自然体で行えるというのは、それだけで一生ものの財産なのだから。


「何のために勉強をするのか」


古今東西、いつの時代も投げかけられてきたその素朴な問いだって、たとえ今は分からなくても心配はいらない。勉強を続けてさえいれば、その子なりの答えをいつかきっと見つけられる日が来るはずだ。



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